言葉と、その背景
自分にできることへ戻る。エピクテトスの一節を読む
『エンキリディオン』第1節を英訳版から読み、自分で選べる行動と、他人が決める結果を分けるメモを提案します。
公開 2026-09-14 · 更新 2026-09-14
言葉を、自分の責任を広げすぎないために読む
相手の返事や周囲の評価が気になって動けないときは、「自分で選べることは何だろう」と問い直してみる方法があります。結果まで思いどおりにしようとする前に、次に選ぶ行動の範囲を確かめる。この記事では、そのための読書とメモのきっかけとして一節を紹介します。
私たちの力の及ぶものもあれば、力の及ばないものもある。
There are things which are within our power, and there are things which are beyond our power.
編集部訳英訳の一文と、前後の区別を確認する
参照したのはThomas W. Higginsonによる英訳を載せた、The Liberal Arts Pressの1955年11月第2版に基づく電子版です。上の日本語は、その英語から作った編集部訳です。古代ギリシャ語の原文や、既刊の日本語訳の文章をそのまま掲載したものではありません。
第1節は、自分の判断や欲求などと、身体、財産、評判、地位などを区別しています。ここでは他人の評価を自分の所有物のように扱わず、自分の判断へ目を戻す読み方に注目します。身体まで列挙する古代の倫理思想を、病気の治療や社会的な問題への対処を諦める助言として使うことはしません。
メモを「選べる・相談する・待つ」に分ける
編集部からの提案は、困りごとを三つの欄に分けることです。「自分で選べる行動」「相手との相談が必要なこと」「今は返答や結果を待つこと」と書いてみます。この三分類は原典の直訳ではなく、日常の判断のために加えた整理法です。
架空の例として、友人に予定を提案した場面を考えます。自分で選べるのは候補日を分かりやすく送ること、相談するのは集合時刻、待つのは相手が参加できるかの返事です。返事を早めるために何度も文章を送りたくなったら、別の予定を先に進める選択もあります。
選べる行動には、休むことも含めてよい
自分の範囲を見つけることを、「自分の考え方が悪いからつらい」と責める理由にはしないでください。休む、助けを求める、今の場所から離れるといった選択も検討できます。他人が行ったことの責任を、すべて自分の内側へ引き受ける必要はありません。
今日のメモに書くのは、一つの行動で十分です。「伝えたいことを短く書く」「返事を待つ間に食事を取る」など、今の自分に可能な大きさを選びます。何も決められなければ、そのまま保留してもかまいません。この言葉を、何でも耐える命令ではなく、選択を整理する問いとして置いてみましょう。
この言葉の出典
エンキリディオン(The Enchiridion) / Thomas W. Higginson英訳、The Liberal Arts Press第2版(1955年11月)、Project Gutenberg #45109 / THE ENCHIRIDION / I
情報確認日:2026-09-14
Epictetus:The Enchiridion(Higginson英訳) ↗編集:AIを用いて原稿を作成し、記載した資料と照合しています。